2018年平成30年7月5日スポットコンサル・顧問ページ追加の為更新 航空行政

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航空行政後進国日本:

今回SAEEクラスを始めるにあたり、最新の米国航空行政状況と日本の現状を比べる結果となりました。
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基本的な疑問として、
なぜ日本ではパイロットは育たないのか?
なぜ、多くの先進国ではパイロットは特別ではないのか?

1991年(四半世紀も前)に、”The Private Pilot's to RENTING & FLYING Airplanes Worldwide”と題した書籍が米国で出版されまた。
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ここではPVTパイロットが海外で飛行機をレンタルして自由に飛ぶ為のガイド本で具体的に詳しく記述されています。(一般の方が海外でレンタカーを借りるのと同じです)
文中で、各国のRatingがされていて、Difficultと評されているのは、欧州、南北米には無く、少数のアフリカの国と、インドそして日本だけです。(当時中国は対象外で返還前の香港はEasy)
1990年初頭に於いても、第二次大戦敗戦国のドイツでさへRatingがEasyであった事実は、戦後連合軍が厳しく日本の航空技術に封印をしたことが直接影響ではなかったと推測します。

その出版からおよそ30年。
世界経済の成長と様々な技術発達により、世界の航空システムも大きく変わってきました。
比例して、パイロットという職業も以前ほど特殊な職業ではなく、一般職業との差は小さくなってきました。

一方、現在の日本の航空状況(航空行政)は旧態依然で全くと言って進歩していません。
正確に申せば、日本に於けるジェネラル-アヴィエーション(以下GA)の未発達という現象に表れていると申せましょう。
(※GAジェネラル-アヴィエーションとは航空分類で、軍事・民間定期航空を除く総称)
GA未発達による弊害としてもっとも深刻な影響は、日本国内でまともなパイロットを育成できない事実として厳然たる事実が存在します。
30年ほど前までは、何とか誤魔化して世界標準へついて行けている様に見えましたが、現在では埋めようの無い程世界標準から遅れています。(未だにRatingはDifficultだと感じます)
本ホームページ他項でも述べ通り、日本国内で唯一の官立操縦士養成機関である航空大学校終了者でさえ、世界的なレベルではエア・ラインへの就職はできません。

何ゆえ、ここまで遅れた(実際は留まったまま進歩がなかった)か?

航空行政だけではなく、他の行政分野でも言われている各種規制が大きく影響しているのではないかと想像します。
規制改革によって既得権層が自己の利権を奪われる事に強行に反対活動を行なった結果、国家的に大きな負債を背負い込んでしまったのではないでしょうか。

具体的に考えて行きましょう。
事実として米国で4万ドルの予算で、CMR(事業用操縦士)、Instrument Rating(計器飛行証明)、CFI/I Rating(教官資格)の取得が可能です。
一方日本では、同じ予算でPVT(自家用操縦士)とせいぜい計器飛行証明が限界です。飛行時間で米300時間に対し日本100時間程度となります。

何故このような差が現れるのか?

日本ではあらゆるもののコストが異様と言えるほど高価であるからに他ならないからです。
結果単位飛行時間当たりのコストが高騰するのも避けられません。
あるソースによると世界的にポピュラーなセスナ172の機体で、年一回の耐空証明検査費用が日本では60万円とか。米国では検査だけであれば、$1,000-位だと思います。

なぜこんなに違う?
日本だと無線機一台の検査費用が10万円と聞いた事があります。
米国では検査の必要性はありません。(不具合が出て故障なら直す)
このような要素の積み上げで差が生じる事になります。
この検査について、本当に必要なものか?
米国でさえ必須とされるAirworthinessは日本でも耐空証明は必須です。
しかし、無線機器検査が必須ですか?
今の時代デバイス、実装技術の向上で昔とは比較にならない位信頼性が向上しています。
そんな状況で、法律で謳ってあるので皆仕方なく実施し、その行為に対する費用が発生する仕組みです。

又日本では航空機の無線設備(と言う)を操作するのに航空特殊無線技師なる免許が必要になります。(何で技師なの?通信士だろう!)
当然ですが、米国ではPilot Certificateに含まれます。
そんな事言うなら、携帯電話使用者に対し無線通信士資格も要求せよ!
スマホと航空無線機のどちらが複雑で信頼性が高いか?
圧倒的にスマホの方が複雑で、比例して信頼性は低いです。

世界一高いと言われる着陸料や駐機料なども問題で国家戦略としての経費低減を考えなければならないと考えます。

なぜ変えない?
変える必要性を見出せないからです。
”マズイ事が起きない限りそのまま放置しておけばよい”が役人発想です。(たぶん)
このような発想では厳しい民間では生き残ることは不可能です。
どのように世界に対して競争力を維持し、理想はリードしてゆくかを考えてゆかなければならない事を真剣に考えるべき時期だと感じます。

宇宙産業では世界でも屈指の技術を保有する日本が、何故航空機では遅れているのか?
すべての”根っこ”は繋がっていると感じます。
ですから、その一つでも改革し前進させることにより、付随した分野も大きく発展する事が期待できます。

航空大学校logo
まずは直近の官立航空大学校の大改革を行なう為に周辺法整備をしてもらえませんか?
唯一の国の操縦士養成機関の修了者がラインパイロットになれない。(市場要求に未達)
予算・期間は現行通り2年半で、卒業時にR-ATPと100時間タービンを達成できるよう環境を整えましょう。

車の世界一のハイブリッド技術を転用して、ダクテッド・ファン・ハイブリッド機を開発・製造し世界のパイロット・トレーニング・マーケットに出ませんか?
Airbus E-FAN

ツインオッター
もう一つの可能性として、日本は海洋国家です。
新明和のノウハウを生かして水陸両用小型ジェット旅客機なんかどうですか?
船舶交通と折り合いをつけて、日本各地にシープレーンベースを設置し、不定期便(エア・タクシーみたいに)を運用できる環境を整えたら如何でしょうか?

現在小笠原に空港設置の検討をしていますが、一度失った自然は簡単には戻りません。
空港建設の前に、シープレーン・ベースもどなたか検討して頂きたいものです。
環境へのインパクトは比較的少なくいと想像するのですが。

一般には知られていない眠っている技術が日本には沢山あるはずです。
それら結集し、必要であれば国家プロジェクトとして推進してゆけば、日本は世界の於いても屈指の航空機産業国になる事も夢ではないと思いますが、議員の皆様、如何おもわれますか?

 
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