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第1章 進路  第2章 パイロットの実際  
 第4章 SGLab開講予定  第5章 航空行政後進国日本
 第6章 趣味としてのパイロット

第3章 職業パイロットへの道
日本の中学生・高校生を念頭に置いた、職業パイロットへの具体的なアクション・プランについて考えてみる事にします。
必須英語、カナダ高校留学の薦め、大学からの留学、卒業後の進路、使える英語の習得法 (高卒独学例、京大院卒例)、数学と物理、大学に於ける教育(R-ATP)について記します。

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必須英語(English Proficiency)
本章では、日本の中学生・高校生を念頭に置いた、職業パイロットへの具体的なアクション・プランについて考えてみる事にします。

現実問題として、世界的に見てマイナーな日本語環境に生まれ育った身には、英語に対して明確なディスアドバンテージを背負っています。 この事実に向き合うことが最初の一歩になります。

完全英語環境下に於いてパイロット訓練を始めるには、当然ですが、全ての情報入力が英語でなされる関係で相当なレベルの英語能力が必要とされます。
率直に申し上げて、日本の通常環境に於いて"英語が出来る"レベルでは全く歯が立たたないと認識した方が良いと感じます。
具体的には電話での意思疎通(ボディーランゲージ無し)が出来るレベルでないと苦しいです。

元々それ程の勉学能力も無い者が、英語勉強をやりながらパイロット資格を取るような甘い考えは現実通用するとは到底思えません。(PVTで終わるのであれば話は別です)
実際、ANA/JALの自社養成で相応の学習能力が要求されるのは至極当然と思われます。
最近のデーターを持ち合わせていないので即断は禁物ですが、上記の理由で有名大学からの出身者が多かったと記憶しています。

若い柔軟な頭脳であれば、一年間の完全英語環境留学を行なえば相当なレベルとなり得ます。
一年間、みっちりと英語での高校勉強と英語自体の勉強、さらに英語圏文化を習得する事はパイロットに限らず人生の価値観を広げる大きな機会となると信じます。
このような観点から、英語圏への高校留学は有意義であると思います。


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英語の必要性について
ICAOではパイロット資格に対して英語が必須項目になっています。
米国天気予報専門放送(Weather Channel)でも、日本で航空気象に用いられる気象表現がヤード・ポンド法(米国以外殆ど使われていない)がそのままに放送されています。 当然の事ですが、航空機(航空システム)がアメリカ文化を主体として発展して来た経緯があるので当然と言えば当然の帰結で、航空業界の標準は、ヤード・ポンド法と国際海里を合わせたものを用いています。

御存知の通り、実業務では共通言語である英語でATC(Air Traffic Control飛行管制)も行なわれます。 独特の言い回しや慣習等もあり、英語圏向けの練習用教材があるほどです。
PVTであればJFK(ニューヨーク・ケネディー空港)やORD(シカゴ・オヘア空港)への着陸の権利を有しています。 但し、空域進入の前に許可を得なければなりませんが、プロ・パイロットの間隙を縫ってアプローチをコールし指示を受けるには相当な慣れが必要です。 (感覚ですが日本ATCの1.5倍くらいは早いです)
その他多くの関係情報が恒常的に英語ベースで供されます。従って相応な英語能力を持って飛行訓練に臨まなければなりません。


英語習得について
多くの方が経験や知見に基づいて英語教育に関して述べられていらっしゃいます。
*以下は本ホームページ開設(SG-Lab主宰)者の個人的な考えである事をご承知置きください。
英語教育については、

聞く力、話す力、読む力、書く力

が必要です。 そして、この順番で言語能力を高めて行きます。
蛇足ですが、従前の日本に於ける英語教育が、いきなり"This is a pen"から始まれば、外国語アレルギーに陥るのは自明の理とも思います。(いきなり最後の"書く力"から入るのですから簡単である訳がない) 更に申せば必要性が無いからです。(分からなくても困らない)

勉強一般では、得られる結果が自己の欲している事項であれば人間は言われなくと学びます。
言い換えれば、ゴール達成の為のツールとして言語勉強を捉えることが、大事だと考えます。
このホームページでは英語を勉強するのではなく、航空システムの知識を英語で学ぶ事により、結果的に英語能力を身につける事を提案します。 英語の勉強という永い道程に対して、御褒美である航空知識と経験を得る事が、継続的努力を成就する最も大切なファクターだと思います。

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段階的な英語習得法として、まず最初に"聞く力・話す力"を育てなければなりません。
スピードラーニング?
聞く力に対しての良い訓練教材にはなりますが、必要条件ですが十分ではありません。
"話す力"をどうやって開発するか?ここが大きなポイントとなります。
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カナダ高校留学の薦め(中学3年生が主となる)
先の項で述べた観点から、環境・条件が許すのであればカナダへの留学は検討に値すると考えます。
推奨する理由として、
・国として海外留学生を受け入れるシステムがある
・カナダ高校卒業者のカナダ大学入試時の英語試験免除
・カナダ・コミュニュティーカレッジ進学の場合、無試験での入学も可能
・米国と比較しても、綺麗な英語が話されている
・治安が良い
・場所を選ぶことにより、外国人同士の集団から距離を保てる
・米国に次ぐ、良好なAviation環境
・外国人就労の受け入れ
等があります。
特に第一理由に挙げたカナダによる積極的な外国人留学生受け入れシステム(Canada International Student Program)によって、費用的にも米国、英国と比較して低く抑えられます。
日本の私立高校への進学と比べれば、年間百万円程の追加予算で実現可能な選択肢と成ります。
三年間、真面目に勉強と対峙すれば、相応の英語能力(英語環境文化)を身につける事は現実的結果だと思います。


大学からの留学
残念ながら、一般大学留学について本格的に調べたことが無い関係で、情報は殆ど持ち合わせていません。
卒業後の進路を米国内に求めるのは、余程の事が無い限り無理と考えた方が良さそうです。
実際聞いた範囲では、何とか猛勉強をして4年卒業まで漕ぎ着けた日本人を含むアジア系の学生が、結局米国内では職が見つからず全員帰国したとの事です。


使える英語の習得法(高卒独学例、京大院卒例)
英語を用いた職業に実際に就いおられる方を、以下二例に記します。
お二人共業務上、実生活上全く痛痒を感じないレベルの方です。

最初の方は地方の工業高校を卒業された後、大手電機メーカーの製造工場に就職しました。 その後意志を新に英語を勉強する事を決意し、全てを英国留学を含む英語習得に努め、結果的に外資系計測器会社で活躍されました。

もう一方は京都大学大学院を卒業後、米国Fortune100に入る企業に就職されました。
その方の英語習得方は、”継続的に勉強する”が全てで、海外留学は必須では無いともおっしゃっておられました。
御両者に共通するのは、継続的な努力であると言う事実です。

しかしながら、一般的には言うは易しです。
多くの場合、結果が見えない時は継続的な努力は難しいのが現実ではないでしょうか。
ですから、目に見える結果のような自分に対する御褒美を与える事が重要と考えます。
このような理由で、漠然と"英語が出来るようになりたい"との動機で語学学校に通われるのは、勢い"無駄"とは申しませんが、効果の程には疑問が残ります。

具体的な事を申せば、多読とオーラル・スピーキングを継続的に行なう事を強く勧めます。
どちらも正確な意味の理解は不要で、繰り返し反復練習を行なう事がエッセンスとなります。
新宿の学校SEGやスピード・ラーニングが、これの一部に該当するとことになります。

ここで一般注意として、"英語お馬鹿になるな"と申し上げておきます。
英語は、コミュニケーションと情報取得の為のツールです。
在日外資系企業に於いて、残念ながら"英語お馬鹿"が相当数生息している事実があります。 英語だけが出来る、業務内容や思考が稚拙な方々です。 彼らの生きてゆく術は、外人相手に上手く立ち回り、業務本質を省みないお馬鹿さんで、その生息数が如何に多いかに驚かされました。
但し、若い方の英語習熟度あがった昨今では、英語メッキが剥がれ落ちぶれていくようです。
言語能力以前に、深く観察し考える”学ぶ”基本姿勢を身につける事が非常に大切な事だと思います。
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数学と物理
飛行のメカニズムを理解する上で基礎的な理科・物理と数学は避けて通れません。
かと言って実際の試験で難解な問題が出題される訳でもなく、実運用に則した範囲で理解と利用ができれば十二分です。
その観点から、日本での勉強も、高校授業レベルの基本をしっかりと押さえる事が重要です。
例として60°バンクでは機体に2Gがかかります。モーメント計算が出来ないと、重要な重心/ウエイト&バランスの計算が出来ません。 この数学・物理の学習単位取得要求は、Aviation Cource入学要件の一部となっています。


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大学に於ける教育(R-ATP)
飛行経験としてATP保持者は必要十分な経験を持ち合わせています。
IMC飛行(IFR)、夜間離着陸、クロス・カントリー、単発時間、双発時間、タービン時間等々、個人により割合は様々です。

繰り返しになりますが、実際のエアライン運行に従事するにあたり、以前より雇用側で新規ATP保持者に対し追加教育を行なってきました。
言い換えれば、ATP保持者に於いても、いきなり実運行には知識ギャップが存在し、そのギャップをATP取得時に埋めることにより、文字通り即戦力となるクルーの雇用を目指した形態がR-ATPと考えられます。

本格的気象学、CRM等は、一般のフライト・スクールのCFI・CFIIにおける教育は事実上不可能で、専門の教育機関での教育が必要となります。 幾つかのフライト・スクールでは地元の大学と提携して、飛行経験はフライト・スクール、座学は地元州立大学での講座受講の形をとるケースも見られます。

その両方を備えるのがERAUとなります。(意図的な宣伝ではありません)
流石に、航空教育を中心に据える大学であり、一般のフライト・スクールの設備(訓練用単発、双発のフリート群)、シミュレーターに加え、タービン機(キング・エア)、フル・モーション・シミュレーター、高々度チャンバー等、充実した設備を誇ります。 自然、FAAのR-ATP取得に関わる認定をいち早く取得しました。但し、私立大学である事実で学費は決して安くはありません。
就労ビザが不要である米居住者であれば、かなりの割合でエアライン職に就ける事となります。

結論としては、PVT→CMR(CFI/CFII)→ATPを単純に目指すのではなく、大学での指定単位取得も視野に入れて、パイロット・キャリア・プランを考えるべきです。


以下、第4章 SGLab開講予定 へ続く




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